沼にハマると言っても過言ではないのだ

最高刑が死刑にあたる殺人や強盗殺人などの罪は時効を廃止し
それ以外の「人を死亡させた罪」については
これまでの時効期間を2倍に延長するなどされた。
2010年に施行された時効制度改正の内容だ。
私が生まれたときにはまだ改正される前で
「時効」という言葉がニュースでも流れていたことを
古い記憶ではあるが薄っすらと覚えている。

このドラマが放送されたのは2006年。
まだ時効が全ての罪に存在したときのドラマだ。
タイトルは「時効警察」
時効を迎えた事件を捜査するドラマ。
これだけ聞くと硬派でガチガチの刑事ドラマのように思えるが
一言加えるだけで様相はガラッと変わる。
時効を迎えた事件を「趣味で」捜査するドラマ。
これを聞くと「趣味??」と誰もが反応してしまうのではないだろうか。
ドラマの中でも毎回こんなシーンがみられる。
そうこのドラマは硬派でガチガチの刑事ドラマではなく
ふにゃ~でツッコミどころ満載なコメディーミステリードラマなのである。

このドラマを観た当時の私は回を重ねるごとに
このドラマの虜になってしまった。
あのゆるさとクセのあるネタに私はどっぷりと沼にハマってしまい
今もその沼から抜け出すことが出来ていない。
友達からも笑われてしまうほどの重症度だ。
しかしグッズを集めているわけではなく
ドラマの内容にハマってしまったのだ。

このドラマを好きになるかどうかの境界線は、ずばりネタである。
好きか嫌いか、極端に二分化されるドラマではないだろうか。
私の周りでも好きな人とは話が尽きないが
嫌いな人に話を聞くと「どこが面白いのかわからない」と言われてしまう。
そう、このドラマの8割はネタだと言っても過言ではないのだ。

でもこのドラマはそれだけではない。
観ている側に問を投げかけ考えさせられるところはただのコメディーでは終わらず
ミステリーの醍醐味を感じさせる。
第6話の「恋の時効は2月14日であるか否かはあなた次第」は
時効捜査を趣味にしていることについて
霧山が葛藤し一人旅に出てしまう。
時効間際の事件の話だからこそ
加害者の周りの人や被害者遺族の気持ちなど
他の話とは少し違う後味になっている。

趣味の捜査だからこそできることもある。
違法捜査をしていたり、もう時効になっているからこそ出てくる新たな証言もある。
だが物証に欠けたりして、最後まで詰め切らない捜査になってしまう。
だからこそ真相を全て知るには「犯人のご厚意」である自供も
このドラマでは大きなところだ。
しかし最後まで否認することもできるのに
犯人はみんな話し始める。
それはなぜなのか疑問が出てくるが
第3話の「百万人に無視されても、一人振りむいてくれれば人はしあわせ…じゃない?」の
犯人が最後に霧山と交わした会話が理由の一つであるのではないか。
その言葉はとても印象的でよく覚えているが
これをここに書いてしまうとネタバレが過ぎるので
ここには書かないでおこうと思う。

このドラマにはマネしたりドラマを観ながら一緒にやりたくなるようなフレーズも出てくる。
私のオススメは第4話の「犯人の575は崖の上」の中で
2時間ドラマ・シリーズ『THEアネゴ探偵・寂水先生が行く!!』の「シュッ」だ。
この「シュッ」は時効管理課のみならず、みんながマネしているもので
観ているこっちもセリフやみんなと同じタイミングでやりたくなってしまう
いや、やってしまうフレーズだ。
こういったのがたくさんあり、リピートして観たくなってしまう要素になっている。

このドラマのリピーターになってしまったときには
他にも注目してほしい点がある。
まずは記念すべき第1話目のみんなのキャラクターが定まっていない感じ。
あれにドラマとしての初々しさ感じてしまい
毎回ニヤニヤしてしまう。

次に深夜のドラマだとは思えないほどのエキストラの方の多さだ。
ただエキストラが多いだけではなく
そこにも隠れているネタ数々。
だからこそ初見からもう15年以上経っているにも関わらず
今まで見つからなかったネタを見つけてしまう。
ここまで沼にハマってしまうと
目が散って本筋なんてどうでもよくなってしまうことも。

そして一癖も二癖もある登場人物。
特に時効管理課のキャラや空気感についていけない人は
このドラマからすぐに離脱してしまうだろう。
癖があるのは時効管理課だけではない。
総武警察署の面々も好きになってしまうキャラばかり。
天然な十文字はどうしようもないが愛してしまう
みんなそんなキャラばかりだ。
時効捜査で出会う事件関係者も強者だ。
癖というかあくが強く、一瞬しか出てこなかったとしても印象に残る。
その登場人物からいろいろな人間模様や犯行動機などが見えてくる。

他にも会話の波長やリズム感、言葉や物のチョイス
入れなくていいところに入ってくる効果音・・・
あぁ私にとっては全てが愛おしい。

まずは第1話目と第2話目を観てほしい。
だいたいそこでこのドラマが自分に合うか合わないかがわかるはず。
それでぴったり過ぎるほど合ってしまったら、あなたも私のようになること間違いなし。
そうさせてしまうきっかけを作ってしまったとしたら、本当に申し訳ない。

放送から十年以上経った今でも、私の「時効警察」そして「帰ってきた時効警察」への愛は止まらないことを改めて最後に言っておく。
しかし今回は「時効警察」だけに絞り「帰ってきた時効警察」はまた別のときに語らせていただくことにしよう。

時効警察

作品概要
https://www.tv-asahi.co.jp/jikou_01/#/?category=drama

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